着物クリーニング・お手入れコンシェルジュこと栗田裕史の染色補正師日誌

着物クリーニング・お手入れコンシェルジュ日誌。たまに毒も吐きます。麻呂とも呼ばれてます。

よもやま話 毒吐き 職人

手間賃仕事を値切るということの意味

投稿日:2015年5月25日 更新日:

ボクの仕事は「染色補正」という職業なのですが、いわゆる「手間賃仕事」という部類の仕事になります。

手間賃の意味をWeb辞書なんかで調べると、「手間に対して支払われる賃金。手間。手間代。」と書いてありました。

・・・そのままやがな(笑)

つまり、手間賃仕事というのは、人がかけた手間に対する報酬制の仕事ということになるかと思います。

例えばボクの仕事は、着物や洋服などの染み抜きとかをして、その工程にかかった手間に見合う料金を頂戴するわけですが、一から何か新しく物を作るわけではなく、依頼品の状態によってそれぞれかかる手間が変わってくるので、料金は基本的にこちらが決めます。

ただ、プロですから、もちろん料金算出には根拠があって(自分の中にですが)、それを基に算出してます。

経済には詳しくありませんが、今は景気も上昇基調だとかで、一時期ほどは安さを求めるムードではないのかもしれませんが、それでも、同じ物なら安い方が良いと思うのは、人として当たり前の感覚だと思います。

でも、手間賃仕事というのはちょっと特殊な職種で、物を買うのと同じ感覚で値切られたりすると、非常に困るのです。

業界あるある話になりますが、着物の染み抜き品があったとして、作業時間の予想から5,000円という見積もりを出したとします。
それに対して、「たくさん品物出すから、3,000円にしてよ」とかふざけた困ったことをいう業者さんがいますが、それは有難いどころか、大変迷惑だったりします。

例えば物販なら、原価を割らなければたくさん売れた方が儲かる場合もありますよね。例えば、売価5,000円で原価が2,000円の品物だとすると、5,000円で10個売れたら30,000円の粗利ですが、3,000円で50個売れたら、50,000円の粗利になります。
(物販については素人なんで、間違っててもツッコミはご遠慮ください)

一方、手間賃仕事はどうでしょうか?手間賃仕事は、先に書いたように、人がかけた手間に対して支払われるお金です。それが全て。

ということは、全く手抜きをせずにかける手間が同じなら、一点あたりの料金が下がれば下がるほど、同じ売り上げを上げるには労働時間を増やすしかないわけで、結果的に働くほど必ず損をしていくということになるわけです。

要は、手間賃仕事というのは、れっきとした商いでありながら、その実、時給の仕事と非常に性質が似ているのです。

手間賃仕事≒時給

例えば、貴方が時給1,000円で一日8時間働くアルバイトをしていたとします。

そんなある日、お店のオーナーが、「一日15時間働かせてあげるから、時給600円にしてよ。」と言ってきたとします。
このとんでもない申し出を受ける方が果たしているでしょうか?まずいないですよね?

ですが、手間賃仕事を安易に値切るということは、それと同じくらい非常識なことを相手に要求しているということを知っていただきたいのです。

ボクの仕事以外にも、手間賃仕事はたくさんあります。
パッと思いつくだけでも、クリーニング屋さん、理美容師さん、マッサージ屋さん、Web制作関係、大工さんなどなど・・

手間賃仕事の職人は、いわば己の技術をお金に替えているわけで、自分の持つ能力に対する自信やプライドも持っています。

手間賃仕事を値切るということは、場合によっては、値切る相手の人格否定にもなり得るということを、知っておいて欲しいと思います。

(以前書いた記事に加筆修正をいたしました。)

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栗田 裕史

栗田 裕史

1969年京都生まれ京都育ち。着物お手入れコンシェルジュ。着物クリーニング・染み抜き・お手入れ専門店二代目として生まれ、あらゆる衣類のトラブルを解決する染み抜き専門店【なをし屋】代表にして、染色補正師。と、書くと何だか敷居が高そうですが、全くそんなことはありません。麻呂とも呼ばれてます(ΦωΦ)

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